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 INDEX // Step1:ベーシックグッズ // Step2:イクイップメント // Step3:ウェアリング // Step4:フットウェア
 Step5:パッキング // Step6:キャンプサイト //  Step7:食事 // Step8:ナイトライフ // Step9:キャンプライフ
 Step10:トレッキング // Step11:サバイバル // Step12:撤収 // Step13:メンテナンス

テント

 テントは長く使っているとシーム(縫い目)の防水性が低下する。そんなときはシームシーラーを塗布する。写真はゲル状のものだが、テープ上のものもある。

 岩場などでキャンプしたときはグランドシートが擦り切れることもある。そんなときはリペアシートを貼って補修する。

 フライシートやタープの撥水性が低下したときは、普通の撥水スプレーを用いてもいいが、専用の強力タイプだと耐久性が高くてお勧め。生地に撥水スプレーを掛けるときは、必ず風通しのいいところで、風上側に立ち、液剤を吸い込まないようにすること。

 

シュラフ

 インシュレーターが化繊綿の場合は中性洗剤でシュラフを丸洗いできるが、ダウンの場合は保温性に重要な役割を果たしている油脂を洗い落としてしまうことになる。ダウンに含まれる油脂を落とさず、油脂がかすれたダウンには補給するダウン専用洗剤を使用するといい。

 

ウェア

 アウターウェアやレインウェアはシェルにゴアテックスファブリクスが用いられているものが多いが、モンベルからはゴアテックスファブリクスを補修するためのリペアキットが発売されている。

 厚手の生地でも縫える「Speedy Stitcher」。テント生地でも簡単に縫い合わせることができる。糸を通した針を刺していけばいい、いわばハンドミシンなので使い方も簡単。

 

ブーツ

 ぼくが革製のシューズをメンテナンスするときに使う用具。水洗いするときのタワシ、乾燥した表皮をトリートメントするためのミンクオイル、靴全体に塗る保革油と防水ワックス、そして仕上げのブラッシング用の馬毛のブラシとクロス。

 

 

 

 



 

Step13 : メンテナンス

[ NDEX ] 
1.道具と長くつき合うために 2.テント 3.シュラフ 4.ザック 5.ウェア
6.リペアグッズ 7.シューズ

■道具と長くつき合うために■

 シューズ、ウェア、テント、ザック……使い古して自分の手足のように体に馴染んだ道具、あたかも気心の知れた友人のように、愛着を持てるようになった道具こそ真の道具といえるでしょう。でも、フィールドで酷使して、そのまま放っておいたら、そんな道具との親密な関係もほんの束の間でしかなくなってしまいます。メンテナンスは、道具に馴染むための最短の近道であり、頼もしい相棒である道具を長持ちさせてアウトドアライフを充実させる秘訣でもあります。

 

●テント

 撤収の項で紹介したように、テントを長持ちさせるコツはよく乾かしておくことです。でも、長く使っている間に性能はどうしても低下してきてしまいます。初期の性能をできる限り維持しておくために、メンテナンスは欠かせません。

 まずはじめに低下するのは防水性です。とくに、フライシートやグランドシートの縫い目のシーリングが劣化し、そのままにしておくと、そこから浸水がはじまります。

 メンテナンスの最初のポイントは、再シーリングすることです。

 シーリングには樹脂状のシームシーラーを塗って縫い目を潰してしまうものとテープ状のシームシーラーを縫い目の上に張りつけてあるものの2種類あります。樹脂タイプの場合は劣化したシーラーの上から新たなシーラーを塗り重ねるだけでOKです。テープタイプの場合は劣化して剥がれかけたテープを全部剥してしまい、露出した縫い目に新しいテープを張りつけます。いずれのタイプも登山用品店などで購入できます。

 また、フライシートやグランドシートの生地自体の防水性も経年変化で劣化してきます。フライシート表面に丸い水滴がついてすぐに流れ落ちるようなら、まだ問題ありませんが、水が少しでも染み込むようになったら、フライシート表面にまんべんなく撥水スプレーをかけてやります。グランドシートも、ときどき外側全体に撥水スプレーをかけるようにします。撥水スプレーで処置することにより、防水性が復元すると同時に、汚れがつきにくくもなり、寿命を延ばすことにつながります。

 焚火の火の粉がとんでできた焼け焦げなどをみつけたら、後で紹介するリペアテープなどで補修しておきましょう。そのまま放置しておくと、裂け目が広がってテントそのものが使いものにならなくなってしまいます。

 それから、ポールも経年変化で金属疲労が進むので、4、5年も使ったテントは、ときどきチェックしたほうがいいでしょう。曲がっていたり、ジョイント部にクラック(裂け)があったら、メーカーやショップに依頼して、その部分を交換しておきます。

・追記

 ぼくが初めて購入したテントは、ダンロップの吊り下げ式のアルパインテントです。もう20年以上使用してますが、一度ポールにヒビが入ったので交換したのと、フライシートのかぎ裂き、グランドシートの焼け焦げを補修したくらいが大きな修理で、いまだに現役でがんばってます。

 セルフスタンディングタイプのテントは、分割式のポールがドローコードでジョイントされてバラけないようになっています。よく、ジョイントされたポールを端のほうから外している人がいますが、そうすると、反対の端のほうではドローコードが極度に引っ張られて、外れたり、切れたりすることがあります。ドローコードの寿命も当然短くなってしまいます。ポールを畳むときは、ジョイントされたポールの真ん中で外して左右同じ長さに二分割し、さらに真ん中で外して二分割……というふうにしましょう。

 ちなみに、ポールが破損したら、メーカーに直接問い合わせるか、アウトドアショップに相談してください。ぼくは、知り合いのアウトドアショップに持ち込みました。一週間あまりで破損していた二本を新しいのに交換してくれました。費用は1000円程度でした。

 それから、シーリングするときは、風通しのいいところで、テントのゲートを広げて作業しましょう。シームシーラーは強い有機溶剤を使ってますので、締め切って作業していると中毒を起こします。フッ素系の撥水スプレーも、吸い込むと有害なので、これを扱うときも換気に十分注意してください。

 

●シュラフ

 シュラフはインシュレーター(中綿)の復元力が命です。厚く膨らんで、デッドエアーをたっぷ溜めるシュラフは安眠を約束してくれます。これもやはりメンテナンスを怠ると、収納袋から出してもほとんど膨らまず、万年床のせんべい布団のように、湿気て寒く惨め名な思いをすることになります。

 ダウンでも化繊綿でも水分を含むと復元力が低下してしまいます。また、汗や脂も大敵です。シュラフを長く快適に使うためには、まず、ふだん使用するときに、汚さないことと、陽に干して十分乾燥させることが大切です。

 それから、インシュレーターは圧縮し続けても復元力が低下してしまうので、家で保管するときは、大きめのスタッフザックに移して、ゆったり収納しておくようにします。

 インシュレーターは、細かい繊維の集まりですから、使っているうちに汚れを媒介にして繊維同士が絡みついて塊になり、バッフル(キルティングされたそれぞれのボックス)の中に隙間ができるようになります。こうなったら、洗い時です。化繊綿なら中性洗剤を薄めたぬるま湯でつけ洗いし、十分にすすぎをして乾かします。ダウンの場合は専用の洗剤を使わなければなりません。干すときには、はじめはインシュレーターが片寄らないように、なるべく平に置いて乾かし、湿気がほとんどなくなってから仕上げに吊るし干しするようにします。

・追記

 ぼくが使っているのは、モンベルの一世代前のタフバッグシリーズというシンセティック(化学繊維)インシュレーターのシュラフです。標準のバックは、カサを減らすために、かなりギュウギュウに押し込むようになっているので、保管するときは大き目のバックに移して押し入れの中に吊っておきます。モンベルでは、それぞれのシュラフの合わせて大き目の保管用バックが用意されているので、これを使っています。

 

●ザック

 ザックは直接地面に置いたり、汗が染み込んだりして、汚れがつきやいものです。そこで、つい丸洗いしたくなってしまうものですが、これは禁物。ザックの内側は全体に防水コーティングされていますが、丸洗いすると、乾くときの生地の収縮によってそのコーティングが剥離してきてしまいます。汚れが気になりだしたら、中性洗剤を染み込ませた布などで拭き洗いしてやりましょう。ハーネスのパットに染み込んだ汗が気になりだしたら、部分洗いします。

 また、ザックは畳んだり積み重ねたりせず、なるべく吊るして保管しましょう。ザックの内側には防水のためのウレタンコーティングが施されていますが、ザックを折ったり畳んだりを繰り返すと、これが剥がれてしまいます。中をゴシゴシ洗ったりするのも禁物です。

 また、防水コーティングは経年変化によって劣化しますから、ザックの寿命は4,5年と考えたほうがいいでしょう。ぼくは、昔、シュイナードのザックを長いこと愛用していましたが、終いには、内側のコーティングが日焼けした肌のようにボロボロと剥けてしまいました。それでも愛着が深くて、捨て切れずにおりましたが、雨の中を歩いて、中に入れた衣類がビショビショになって、ついに泣く泣く捨てた思い出があります。

 

●ウェア

 アンダーやインナーウェアは、キャンプから帰ったら洗濯もしくはクリーニングして、次の使用に備えておきましょう。アウターウェアは、裂け目やほつれなどがあったらリペアグッズを使って補修し、雨具はテントと同じように防水のシーリングや生地じたいの防水性が低下していないかチェックして、シーリングや撥水スプレーで性能の維持をはかっておくようにします。

 アウトドア用のウェアの多くは、シンセティック(化学合成)素材を使用しています。これらの素材は、天然素材に比べて、洗濯やクリーニングで劣化しやすいので注意が必要です。とくに、防水コーティングや撥水処理などが施されているアウターウェアは、あまり丹念に洗うとその効果が薄れてしまいます。アウターは、汚れがひどくなければ、襟ぐりと袖口を丁寧に洗い、あとは軽く濯ぐくらいにしておきましょう。他の衣類も、なるべく洗濯機など使わず、手洗いして、とくに汚れのひどいところだけ重点的に洗うようにします。

 

●リペアグッズ

 アウトドアウェアやテント、シュラフ、シューズは強度と耐久性を持たせるために丈夫な厚い生地が使われていることが多く、裂け目や解れを縫おうとしても、ふつうの針と糸ではたいへんです。そんなときは、専用のステッチャーと糸を使うといいでしょう。また、縫うほどの傷でないときやタバコや火の粉による焼け焦げなどはリペアテープで補修します。補修が必要な箇所より一回り大きく、円形にリペアテープを切り(四角く切ると、角がめくれて剥がれやすい)、生地の汚れや水分をよく落としてから貼り付けます。専用の接着剤をつけるものやアイロンを上から当てれば接着できるものなど、いろいろ種類があります。

 ファーストエイドキットの項で、瞬間接着剤を用意しておくと、万が一大きな切り傷を作ってしまったときに縫い合わせる代わりになると紹介しましたが、この手の接着剤は様々なグッズの補修に応用できます。

 布や木材のように浸透性のある素材や、プラスチックや金属でも折れた部分がぴったり合わないような破損の補修には、エポキシ系の接着剤を使用します。これは2液性で接着する直前に溶剤と凝固剤を混ぜ合わせて使用するもので、空気に触れると固く凝固するため、切断面がぴったり合わなくても、その隙間を埋めてくれるのです。

・追記

 補修用具として万能なのは、ガムテープです。ぼくは、長期の登山のときやオートバイツーリングのときには、2mほどの長さのガムテープを丸めて持っていきます。現場ではいちいち本格的な補修はできませんから、グランドシートに裂け目ができたり、テントポールにヒビが入ったりしたときは、とりあえず、これを適当な大きさにカットして貼り付けてしまいます。これほど手軽にしかも確実に接着できるものは、ほかにありません。

 ただ一点問題なのは、ガムテープを剥がした後に接着剤が醜く残ってしまうことです。これを落とすのに、ちょっと荒療治ですが、ぼくはブレーキクリーナーやシリコンオフを使います。これらは、車のボディなどにこびりついた汚れを落とす最終兵器!?です。ただし、あまり調子に乗って大量に使うと、テント生地を傷めてしまうので、少量をウェスにとって使用するようにしています。

 

●シューズ

 シューズは、アッパー(表革)がナイロンなどの布製のものと革製のものとで、メンテナンスの方法がことなります。

 アッパーがナイロンや綿のように布製のシューズの場合は、汚れがひどくなったら中性洗剤をぬるま湯で薄め、その中につけて丸洗いし、水で濯いで乾かします。十分に乾いたら全体にまんべんなく撥水スプレーをかけておけばOK。

 シューレース(靴紐)は擦れて解れが目立つようになら交換します。問題がなければ洗濯し、やはり乾いてから撥水スプレーをかけておきます。

 シューズのアッパーとソールの間の圧着部分が剥がれかけていたり、ソールが削れてブロックが磨り減っていたら、そろそろ新しいシューズとの買い換え時です。布製のアッパーは、擦れや紫外線によって劣化が進むので、外見上は問題なくても、せいぜい3、4年が耐用年数の上限と考えておいたほうがいいでしょう。

 アッパーが革製のシューズは、メンテナンスの如何によって寿命が大きく左右されます。アウトドアから帰ったら、水洗いして、よく汚れを落とし、陰干しします。布製アッパーのシューズは天日に干しても問題ありませんが、革は乾き過ぎると劣化するので、必ず陰干しするようにします。

 そして、良く乾いたら防水性のワックスを全体に薄く均等に塗り、再び乾かし、仕上げにブラッシングしておきます。

 ミンクオイルなどの浸透性オイルを大量に塗りつけている人がいますが、これは大変な間違いです。ミンクオイルは、乾燥し過ぎた革に潤いを取り戻すためにごく薄く塗るか、足首回りの当て革が擦れてきたときなどにほんの少し塗りこんで補修するといった用途で使うものです。ミンクオイルのような浸潤性のオイルは、革を柔らかくする性質があるので、これを大量に塗りこんだりしたら、靴がフニャフニャになってしまいます(しかも、もう元には戻らない)。

 革製でも、スエードやバックスキンの場合はワックスやオイルは厳禁です。これは布と同じように、洗って乾かしたら撥水スプレーをかけておくようにします(バックスキンをワックス仕上げして防水性を高めているようなシューズの場合は別です=このタイプは、上記と同じメンテナンス方法になります)。

 革製のシューズは、ソールの張り替えができるので、ブロックが磨り減ってきたら、張り替えるようにしましょう(登山用品店などで取り扱っています)。

・追記

 最近、街歩きに使っているチロリアンシューズを修理に出しました。ぼくの場合、極端な偏平足の上に、足の力が強いので、すぐに靴が傷んでしまいます。とくに内側の踵に当たる部分と、親指の下が擦り減りやすいので、いつもメンテナンスするときは、その部分は重点的にオイルを塗りこんでおきます。それでも、今回踵の部分が擦り減ってしまい、インナーの踵を包む部分をそっくり切り取り、代わりの革を当ててもらいました。ついでに踝にあたって擦り切れていたところも補修してもらいました。10年以上履いて、体の一部のように馴染んでいる靴が5000円あまりの出費でよみがえると、すごく得した気分です。ちなみに、この靴はイタリアのドロミテ製のコルチナというモデルです。ハンドメイドのシューズは、後々修理を繰り返して使えるので、長い目で見ると徳ですね。

 

 
 

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